「将来の夢はなに?」
「好きなことを見つけなさい!」
小さいころは、周りは期待して夢を聞いてくれます。
無限の可能性があるって信じてくれます。
しかし、大人になったらこんなことを言われます。
「いつまでも夢みるんじゃない!」
「好きな仕事をしないで、安定した仕事につきなさい!」
これって矛盾してますよね。
散々夢は何って聞いといて、急に夢をみるなって言われるんです。
就活のときに崖から落とされるこの感じ、僕も辛かったです。
実際、就活でやりたいことがわからずに、引きこもりになった経験もあります。
好きなことを仕事にしないで、周りの望む仕事で生きていくしかないと絶望しました。
僕はこの経験から、どうしたら楽しいキャリアを歩めるのかについて研究を重ねるようになり、幸い現在はそれが仕事になっています。
フィリピンのNGOでキャリア教育を行ったり、米国のライフコーチ資格をとってこのブログを書いていたりします。
しかし、僕は「好きなことを仕事にしろ!」と無責任にいうつもりはありません。
「好き」に固執せずに、いろんな要素を見てキャリアを決めないとうまく行かないからです。
この記事でを読めば、以下のことがわかります。
・好きなことを仕事にしない方がいいと思うのはなぜ?
・仕事に関して「好き」だけに固執しないほうがいい理由
・どういう風にキャリアを今後歩んでいったらいいか?
キャリアや心理学に関する本や論文を100本以上読んだ僕の経験から紹介したいと思います。
好きを仕事にしない方がいいと思うのはなぜ?
そもそも、好きを仕事にしない方がいいという意見はなぜ生まれるのでしょうか?
3つの空想上のエピソードとともに解説していきます。
1.好きなことが嫌いになるから
28歳でOLのA子さん。
彼女はイタリア料理が大好きです。
シチリアの海産物を使った現地のシーフードパスタが忘れられなくて、日本でもイタリア料理店に足繁く通っています。
そんな彼女が「この趣味を仕事にできたら最高!」と思い、昔から夢だったイタリアンレストランをオープンしました。
何度も吟味したこだわりの味を再現することができ、1年もたたないうちに地元では列ができるほどの名店に。
しかし、Aさんは幸せではありませんでした。
なぜなら、Aさんはイタリア料理を食べる&作ることは好きでも、人やお金をマネジメントすることが苦手でやりたくないことだったからです。
人を採用するのも苦手だったし、数字をみて売り上げの予測も嫌いでした。
結果、Aさんは疲弊し、店をたたみイタリア料理からも距離を置くようになってしまいます。
このように「好きなことが嫌いになるんじゃないか」と不安になることが、好きなことを仕事にしたくないと思う理由の1つです。
2. 好きなことを仕事にすると冷静さを失い、正しい判断ができないから
40歳社会人のB男さん。
盆栽が大好きで、盆栽の魅力を紹介するブログを開設。
将来は自分の作った盆栽をこのサイトで売ってみようということに。
毎日大好きな盆栽について書くことが楽しくて、最初は楽しんでいました。
熱中するように超マニアックなことについて、独自の視点から解説していました。
しかし、書いても書いてもブログにコメントはつかない日々。
結局、読者はいないんじゃないかと思って、悲しくなり辞めてしまいました。
なぜならBさんのブログは読者に読んでもらうという視点を欠いていたので、読みづらくファンがつかなかったのです。
このように好きなことを仕事にすると、熱中するだけで冷静になれず、自己満足で終わってしまうのではないかと考えてしまう人も多いのではないでしょうか?
3.他のことに目を向けられなくなり、視野が狭くなる
スティーブ・ジョブズのスピーチに触発され、「好きなことを仕事にしないと!」と焦っている社会人1年目のC太さん。
自分の大好きな動画に関わる仕事がしたいと思い、動画広告の会社に就職。
毎日動画制作に携われることができ、忙しいながらも充実した日々を過ごすことができました。
しかし、入社3ヶ月後から徐々に仕事が嫌になってきました。
上司はずっとタスクが多いことに愚痴を言っているし、いつも仕事を持ち帰って仕事をしないといけないし、心身のストレスが限界に。
結果的に1年も経たないうちに退職することになりました。
動画を作るのは好きだけど、働く環境を無視していたので辛い思いをしてしまったのです。
このように何を仕事にするのかばかりに注目して疲弊した経験から、好きを仕事にしないほうがいいと思う人もいるのではないでしょうか。
好きなことだけを仕事にしないが鉄則
A子さん、B夫さん、C太さんに共通していたのが、「好き」に固執しすぎた結果、上手くいかなかったということです。
では、彼らはどのようにしていたらもっと仕事とうまく向き合えたのでしょうか?
1. 好きと得意をかけ算する
A子さんは、自分の苦手な人とお金のマネジメントとぶち当たり、辞めてしまいました。
B夫さんは、書くことや伝えることが苦手で、上手くいかず辞めてしまいました。
二人に共通するのは「好き」と「苦手」をかけ算していたことです。
苦手な側面は好きなことの足を引っ張ります。
もし二人が「好き」と「得意」にも注目していたらどうなっていたでしょうか?
A子さんは文字を書くのが得意で、
B夫さんはイベントを開くのが得意だったとします。
そうすると、
A子さんはイタリアンレストランのレビューをするブロガーになったほうが続けられた可能性は高かったでしょうし、
B夫さんは盆栽の紹介をするイベントを開いていた方がうまくいったでしょう。
このように、自分の好きなことだけに固執せず、得意なことにも注目してかけ算してあげると、「好き」を仕事にしていける確率が上がっていきます。
2. What以外の部分に注目する
C太さんは、就職する時に何を仕事にするか(What)の部分しか注目していませんでした。
一緒に働く人(Who)の部分や、働く時間(When/How long)などの他の5W1Hを無視していたので、上司との関係や労働時間で疲弊してしまったのです。
「好きなことを仕事にしないと!」と躍起になればなるほど、何をするか(What)にしか目がいかなくなり、他の部分に目が当てられなくなります。
もちろんWhatも大事ですが、それ以外の部分もしっかりと理解しておく必要があります。
例えば、以下のような項目です。
C太さんは、whoとwhenを次は見ながら、仕事選びをするといいですね。
好きを仕事にすることからスタートしてもいいですが、それを取り巻く5W1Hにも焦点を当てるようにしましょう。
このように、好きなことを仕事にすることに固執しすぎず、得意なことに注目したり、What(何をするか)以外の部分にも注目したりすると、より豊かなキャリアが歩めるようになります。
好きなことを仕事にしないで、仕事を好きに
好きなことを仕事しないで、「仕事を好きになる」というパターンも実はありなのです。
ミシガン大学のパトリシア・チェン教授らの論文によると、情熱の持ち方は以下のような2つに分かれるそうです。
・Fit Mindset(フィットマインドセット)
直感で情熱を見つけられることに幸せを感じる・Developing Mindset(ディベロップマインドセット)
情熱を育てることに幸せを感じる
全体の8割くらいの人が前者のFit Mindsetで、残りがDeveloping Mindsetの人たちだと言われています。
この論文ではフィット感(仕事とのマッチ度)を追跡調査したデータが出てきます。
引用元:Finding a Fit or Developing It: Implicit Theories About Achieving Passion for Work
最初はFit Mindsetの人の方が高いものの、最後はDevelop Mindsetの人たちもほぼ同じくらいまで高くなっていることがあります。
フィット感に加え、他の情熱や職業への満足度、主観的なプロとしての成功や年収を見てみると、どちらの群も同レベルという結果でした。
結果として、どちらのグループも仕事に情熱を持てており、しかも同じぐらいの成功をしていたのです。
要するに、「最初から好きなことを仕事にしないと!」と躍起にならなくても、いまの仕事をどうやって好きになろうかという観点を持っていてもうまく行く可能性があるということです。
好きで得意なことを仕事にしつつも、その仕事の好きなところを見つけて行くというスタンスを持てるとベストですね。
好きなことだけを仕事にしないまとめ
多くの人が「好きなことを仕事にしたい」と思いながらも、その実現可能性を疑い、好きなことを仕事にしないという選択をとっています。
しかし、この記事で述べたような対処すれば「好きなことを仕事にする」チャンスも広がるでしょう。
・「好き」だけでなく「得意」も混ぜること。
・何をするか(What)だけでなく、そのほかの5W1Hも見ること
・情熱を育てるという選択肢もあるということ。
好きを仕事にするのは怖いかもしれません。もし一歩踏み出せないという方は以下の記事も読んでみてください。
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