「コーチングを受けようか悩んでいて、メリットとデメリットを知って検討したい」
「コーチングをマネジメントに導入したいが、どんな効果があるのか知りたい」
「どういう場面でコーチングを使うべきなのか、自分の状況に合っているか知りたい」
コーチングを使おうか悩んでいる人は、まずコーチングのメリットとデメリットについて知りたいと思います。
この記事では、アメリカのコーチングの資格を取り、実際に自分の会社に導入した僕の経験をもとに、具体的なメリットとデメリットについて解説していきます。
コーチングを受けてくれた7人の部下の声も入れながら、具体的に説明していきます。
コーチングとは?
コーチングとは簡単に言うと、以下のようになります。
「クライエント自身がより高い目標に向かって、より早く行動をするための協力的コミュニケーション」
要するに、クライエントが自発的に、目標達成をしていくサポートをすることだと思ってください。
「自発的に」というところがポイントで、クライエント自身が答えを探し、意思決定をするサポートをするのがコーチで、答えを教えるわけではないです。
ここがコーチングの最大の特徴になります。
具体的な考え方や進め方が知りたい方は、【完全版】コーチングとは? 図解つきでやさしく解説を読んでくださいね。
コーチング5つのメリット
では、僕の5人の部下の声を参考にしながら、コーチング5つのメリットについて解説してきます。
①目標達成に対するモチベーションがあがる
[コーチング後の部下の声]
コーチングを受けることで、モチベーションが上がる理由は2つあります。
1つ目は、クライエント自身で意思決定するということです。
昔こんな経験はありませんでしたか?
母親に「勉強しなさい!」と言われると、全然やる気が出ない。
教師にこの学校に行きなさいと言われても、行きたいと思わない。
皆さんも経験している通り、人から言われたことを実際に行動に起こす確率は、自分で意思決定して行動するよりも低いとされています。
なので、コーチングでは、意思決定をするのはクライエントと決めて、アドバイスを基本的には行いません。
クライエントに意思決定をゆだねることで、「自分で言ったんだからやろう」とモチベーションを引き出すことができます。
2つ目は、5感で目標をイメージできることです。
僕はコーチングで目標を決めるときに、部下にこんな質問をしました。
「達成できたらどんな景色が見えそう?(視覚)」
「達成できたらどんな感覚になりそう?(触覚)」
「達成できたらどんな声が聞こえてきそう?(聴覚)」
このように5感を使って目標をありありとイメージすることで、ワクワクを引き出すことができ、行動しようと言う気持ちが湧いてきます。
目標をイメージできないと、何に向かっているのか途中でわからなくなり、モチベーションが下がります。
なので、コーチングでは目標をしっかりとイメージすることから始まります。
②1人で考えている時よりも思考が深まる
[コーチング導入後の部下の声]
コーチングの効果にオートクライン効果というものがあります。
オートクラインとは、生物学用語で「物質を分泌した細胞自身に作用すること」を表します。
ここから出来たコーチングのオートクラインは「話すことで、自分が考えていたことに気づく」ということになります。
1人で悶々と考えているときよりも、人と話すことで思考が深まりやすくなります。
③行動が細分化され、すぐアクションできる
[コーチング導入後の声]
コーチはクライエントの行動をすぐに促していくために、すぐにできるレベルまで行動を細分化していきます。
例えば、「ダイエットして3kg痩せたい」という目標があったとしたら、
「毎朝走る」ではなく、
「明日から毎朝〇〇公園を3周する」という具体的な行動まで落とし込みます。
目標だけを見ていると「遠くて達成できないんじゃないか」と思うかもしれませんが、目標に向かって今できることがわかると「なんかできそう」とモチベーションがわいてきますよね。
コーチングでは行動を細分化し、クライエントがセッション後にすぐに行動できるように促していきます。
④安心して行動できる
[コーチング導入後の部下の声]
コーチは中立的である必要があります。
クライエントが成功しても、失敗しても、それを評価せず、次の行動を促していきます。
「なぜできなかったのですか?」
と詰問するのではなく、
「できなかったんですね。何が妨げになりましたか?」
と評価せずにありのままを受け入れることで、クライエントが安心して行動できるようになります。
肯定も否定もせずありのままを受け入れてくれる存在がいたら、安心して挑戦できると僕の部下が言っていました。
コーチは良い悪いで評価をしないので、クライエントにとって安心して挑戦できる場づくりができるのだと思います。
⑤目標達成だけでなく、人間的な成長を感じられる
[コーチング導入後の部下の声]元々自分は、人とすぐ仲良くなれることが強みだと思ってなかったのですが、いまはそれに気づき、意識的に色んな人を巻き込んだアクションを取れるようになりました。
コーチングは目標達成をするだけではありません、クライエント自身が人間として成長していくためのサポートもしていきます。
「やって見て新たな気づきはありましたか?」
「目標達成するのに活かせそうなあなたの強みはありますか?」
と意識的にクライエントの学びや強みを引き出していきます。
そうすることで、目標達成のスピードが上がるだけでなく、クライエントの人間としての成長を促すことができます。
こうして得た学びや強みはコーチがいなくなっても活かせる糧になります。
コーチング5つのデメリット
次に、コーチングの5つのデメリットについて話していきたいと思います。
僕が部下から受けた生のフィードバックをさらしながら解説していきます。
①クライエント自身がアドバイスを求めている時には機能しない
[僕がもらった実際のフィードバック]
コーチングは答えを教えることはほとんどありません。
なので、相手が何かしら今すぐ知識や情報がほしいという時には機能しないことが多いです。
僕も部下に「教えてほしいんですけど…」と言われたことがありました。
特に組織であれば、新人は知らないことがたくさんあります。
アドバイスした方がいいと思う場面では無理にコーチングをする必要はないと思います。
②信頼関係が築けていないと本音が引き出せない
[僕がもらった実際のフィードバック]
関係性を築けていない段階で、相手の本音を引き出すのって難しいですよね。
僕も関係を築けていない段階で、たくさん質問をしたことでかえって相手を不快にさせてしまったことがありました。
コーチングが機能しない時の大きな原因は、信頼関係が築けていないことが多いです。
なので、コーチングでは最初のセッションではお互いに自己紹介をがっつりやります。
コーチ自身が自己開示をして、相手の自己開示を引き出し、深い関係を構築していきます。
相性もあるため、関係を築きにくい場合はコーチングをしないという判断をするのもありです。
③共感しすぎると依存関係になってしまうことがある
[僕がもらった実際のフィードバック]
「コーチがいないと目標達成できない」という依存関係になってしまうと、自立できない人間を生み出してしまうことになります。
例えば、「それ大変だよね…。」「わかるわかるー!」と言ったように共感を示しすぎると、相手が不安やストレス解消だけのためにコーチを使うようになってしまいます。
あくまでもコーチングは、クライエント自身の「行動」を促していく技法です。
クライエントが依存しないように、応援しつつも適度な距離をたもって行くことが求められます。
④コーチに自己基盤がないと、機能しない
自己基盤とは、相手の可能性を100%信じられる基盤のことです。
「どうせ目標達成できないだろうな」
「目標高すぎない?」
とクライエントの可能性を信じられていない場合、コーチングは機能しません。
なぜなら、クライエントが目標達成できないと思っていると、できない方向に誘導してしまうからです。
例えば、「どうせ無理だろうから、これくらいの低い目標にした方がいいだろう」と思って、「もう少し低めに設定したらどうなりますか?」と言った質問をしてしまうのです。
これでは、コーチングのより高く、より早い目標達成はできません。
コーチ自身が相手の可能性を信じ、ありのままを受け入れられる基盤を持っていないとコーチングの効果は下がります。
⑤継続的にやる必要がある
[僕がもらった実際のフィードバック]
仕事の都合上、何度かコーチングができない週がありました。
その時に部下の行動が進まず、停滞しているということが起きました。
コーチはクライエントが目標を見失わないように、定期的にリマインドをする存在です。
セッションだけでなく、セッションとセッションの間も「進んでいますか?」とリマインドして行くことで行動を促します。
逆に、継続的にセッションができない場合は、コーチングは機能しません。
コーチング・ティーチング・カウンセリングの使い分け
ここまでコーチングのメリットとデメリットについて話してきましたが、結局どういうときにコーチングを使えばいいのかと疑問に感じている方もいると思います。
そこでよくコーチングの比較対象になる、ティーチングとカウンセリングと比べながら解説していきたいと思います。
コーチングとティーチングの使い分け
ティーチングとは、「知識がある人が、知識を持っていない人に与えること」です。
コーチングとの大きな違いは、「答えが相手にない」という前提で進むことです。
コーチングは相手が答えを見つけるサポートをするのに対して、ティーチングは答えを教えるというスタンスを取ります。
相手がアドバイスを必要としているときは、ティーチングを使うといいですね。
コーチングとカウンセリングの使い分け
カウンセリングとは、「クライエントの悩みや辛さを解消する技法」になります。
コーチングとの大きな違いは、「メンタルをマイナスから正常に戻す」ことに主眼がおかれることです。
コーチングは、メンタルが+の状態からさらに+を目指すのに対し、カウンセリングは−から+に戻すことを目指します。
したがって、クライエント側に精神的な問題がある場合は、コーチングよりもカウンセリングをまず行う必要があります。
コーチングの使い分け
・コーチング:相手が主体的に目標達成をするときのサポート
・ティーチング:相手が知識や方法を知らないときのサポート
・カウンセリング:相手がメンタルを正常に戻すためのサポート
コーチングのメリット・デメリットまとめ
最後にコーチングのメリットとデメリットのまとめして終わりにしたいと思います。
コーチングメリット
①目標達成に対するモチベーションがあがる
②1人で考えている時よりも思考が深まる
③行動が細分化され、すぐアクションできる
④安心して行動できる
⑤目標達成だけでなく、人間的な成長を感じられる
コーチングのデメリット
①クライエント自身がアドバイスを求めている時には機能しない
②信頼関係が築けていないと本音が引き出せない
③共感しすぎると依存関係になってしまうことがある
④コーチに自己基盤がないと、機能しない
⑤継続的にやる必要がある
コーチングを身につけてみたいと考えている人は、【コーチングの勉強方法】最短で学ぶ道を目的別にまとめてみたを合わせてお読みください。