「コーチングの承認スキルって何? 普通の承認とは何が違うの?」
「なぜコーチは承認を大事にするの ?」
「いつ、何に対して、どうやって承認すればいいの?」
部下の育成やパーソナルコーチングなどにコーチングを活用したいと考えているあなたはこのような疑問を持っているかもしれません。
実は、この記事で紹介する『4つの承認』を実践すると、誰でもプロコーチの関係構築の方法を再現できるようになります。
なぜなら、コーチング未経験の頃の私でも、職場やお客さんとの関係を改善できた方法だからです。
この記事では、具体的なシチュエーションと会話例を元に、誰にでもわかるようにコーチングの承認の定義や方法について解説しています。
記事を読み終え実践してもらえると、あなたのコーチング相手の目標達成率がグンッと上がること間違いなしです!
記事の終わりには、読者限定の特典もあるのでぜひ最後まで読んでみてくださいね!
【クイズ】コーチングの承認はどっち?
まずは、コーチングの承認スキルについて理解を深めるために、AかBどちらがコーチングの承認スキルを使っているかを当ててみてください(全3問)。
クイズ1 どっちがコーチングの承認?
クイズ2 どっちがコーチングの承認?
クイズ3 どっちがコーチングの承認?
正解は…
・
・
・
すべて、Aです。
いかがだったでしょうか?
AとBの違いは何だと思いますか?
以下詳しく解説していきます。
コーチングの承認とは?
結論、コーチングの承認とは、良い悪いで評価せず事実をありのまま認めることになります。
私たちがよく使う一般的な承認と比較するとわかりやすいです。
例えば、あなたが髪の毛を切ったときに、良い悪いで評価してくる人に対しては、「次はどう言われるんだろう?」と不安になり、安心して関わることができませんよね。
一方、評価をせずにただ髪を切ったという事実に気づいてくれる人に対しては、次髪を切っても判断されないので安心して関わることができます。
このように、コーチングの承認とは、相手の存在や行動をありのまま認め、安心感を作り出すスキルになります。
なぜ安心感が大事なのか?
では、なぜこの安心感が対人関係において重要になるのでしょうか?
それは、心理的安全性が組織や個人のパフォーマンスを向上させるからだといえます。
心理的安全性とは、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン氏が提唱した概念で、対人関係においてリスクのある行動をしても安全であると共有された考えのことを表します。
要するに、過度に評価をされない環境であれば、チーム内に安心感が生まれ、リスクを冒して色んなことに挑戦できたり、上司やチームメンバーに相談や意見ができるようになり、結果として組織や個人の成果が上がるということです。
エイミー・エドモンドソン氏のTED TALK
実際にGoogleのリサーチでも、効果的なチームに共通する項目として、心理的安全性を一番にあげていました。
チームの効果性に影響する因子を重要な順に示すと次のようになります。
心理的安全性:
「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。
(以下略)
まとめると、心理的安全性があることで、チームメンバーが積極的に活動できたり、コミュニケーションが盛んになったりすることで、組織や個人のパフォーマンスが上がると言うことです。
したがって、コーチングでは、承認スキルを使い、クライエントの心理的安全性を確保し、安心して挑戦できる環境を作り、目標を叶えていくと言うことになります。
コーチングの承認では4つの「〇〇」を認める!
では、コーチングの承認とは具体的にどのようにやるのでしょうか?
コーチングの承認には4つの対象があります。
以下それぞれ説明していきます。
「存在」を承認する
まずは一番基本の存在承認から。
存在を承認するとは、「相手がそこにいること」を認めるということになります。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
このように存在に気をかけるだけでも、相手は「ここに居て良いんだ」と安心感を感じることができます。
当たり前のことのように見えますが、これを意識的にできている組織は少ないと思います。
コーチングの承認は、相手の「存在」を認めることが出発点になります。
「感情」を承認する
感情を承認するとは、相手の気持ちを良い悪いで評価せず、ありのまま認めると言うことになります。
特に、バックトラッキング(おうむ返し)がすぐに実践できることとして挙げられます。
バックトラッキングとは相手の言葉をそのまま返すことで、話を聞いている姿勢を示すテクニックです。
とはいえ、すべての言葉におうむ返しをしていてもウザがられるだけなので、相手の感情にだけおうむ返しをするように意識してみましょう。
会話例1
A. 「毎日データ入力作業を繰り返すのは辛いと思っています。」
B. 「辛いと感じてたんだ。」
(×NG回答例)
「辛いなんで言ってたらダメだよ」
会話例2
A.「前年度よりもホームページの訪問数が上がって嬉しいです!」
B.「そうなんだ!嬉しいね!」
(×NG回答例)
「へえ、すごいね!」
会話例3
A. 「明日のプレゼンテーション、正直ドキドキしています」
B.「緊張するね」
(×NG回答例)
「緊張してちゃダメだよ。頑張れ」
※同義語であれば会話例3のように変換してもOKです
共感は「共に」「感じる」と書きますが、感情を共有してくれる人がいるだけで、安心して物事に挑戦できるようになります。
例えば、プレゼンでも、本番直前ひとりで緊張しているよりも、誰かが一緒に緊張してくれた方が安心感がありますよね。
このように、感情を認めてあげることで、相手の行動を促していくのが感情承認になります。
「行動」を承認する
行動を承認するとは、相手の普段の行動やプロセスを認めると言うことになります。
例えば、以下のように承認します。
普段の行動の承認:普段行っている習慣を認める
例1
「〇〇さん、いつも朝早く来て掃除してくれてるよね」
(×NG回答例)
「いつも朝早く来て掃除して偉いね」
例2
「△△さんは、XXプロジェクトの指揮をとってくれているんだ(第三者に紹介)」
(×NG回答例)
「プロジェクトの指揮をとっててすごいんだよ」
例3
「あなたは誰よりも多く営業に回っているよね」
(×NG回答例)
「たくさん営業回ってて尊敬するよ」
プロセスの承認:結果に至るまでのプロセスを認める
例4
「先月は営業10社回ってくれたんだね」
(×NG回答例)
「10社も回っただなんて、さすがだなあ」
例5
「今週は、広報誌3記事書いたんだね」
(×NG回答例)
「1週間に3記事は少ないよ」
例6
「競合他社のリサーチを10社やってくれたんだね」
(×NG回答例)
「リサーチ10社は多いよ。そんなにやらなくていいよ」
私たちは普段やってることを誰かに認めてほしいと常に思っています。
行動を承認してもらうことで、頑張ろうと思える人も多いので、こういった行動承認も有効な方法の1つです。
「結果」を承認する
結果を承認するとは、相手の行動の結果をありのまま認めると言うことになります。
例えば、以下のように承認していきます。
例1
「先月に比べて20%売上がUPしているね」
(NG回答例)
「20%もUPしてすごいね!」
例2
「先週に比べてサイト訪問数が50下がっているね」
(NG回答例)
「訪問数こんなに下がって、どうするの?」
例3
「競合リサーチが終わったから、プロダクト設計に進めるね」
(NG回答例)
「やっとプロダクト設計に進めるね」
このように、行動の結果を肯定も否定もせず認めるということです。
とはいえ、相手に改善を促したい場合もあると思います。
その場合は、フィードバックスキルを活用していくということになります。
具体的には、コーチングのフィードバックとは?【初心者向けにわかりやすく解説】を参考にしてみてください。
コーチングの承認力を高めるには?
では、コーチとしての承認力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?
いきなり、「今日から職場やビジネスの現場で承認をしろ」と言われてもすぐには実践できないですよね。
したがって、「承認をしよう」と考えるのではなく、「評価をしない」と意識してみると良いです。
つまり、部下やあなたのお客さんに対して、良い悪いといった判断を下さないようにするということになります。
例えば、部下の営業成績に対して良い悪いで評価を下さないとことや、髪を切ってきた友人に良い悪いで評価をしないことなど。
「承認しよう」と考えると難しいですが、「評価をしない」と考えると簡単になります。
コーチングの承認スキルまとめ
最後に、ここまでの内容をまとめて終わりにしたいと思います。
・コーチングの承認とは?
良い悪いで評価せず事実をそのまま認めること
・なぜ承認することが大事?
心理的安全性を確保でき、リスクあることにも挑戦できる環境がつくれ、組織や個人のパフォーマンスをあげられるため
・コーチングの承認はどうやる?
「存在」「感情」「行動」「結果」の4つを肯定も否定もせずに、ありのまま認めること
・承認力を高めるには?
「承認する」ではなく「評価しない」と考えると、自然と承認力が身につく
いかがだったでしょうか?
ぜひ、あなたの職場やパーソナルコーチングに活用していただけたらと思います。
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・仕事以外の話をする
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